本でいう「はじめに」的な部分です

浪人生だった頃、二階堂ふみさんをライバル視していました。身の程知らずもここまでくるとかえってすんなり受け入れられたりしないでしょうか。いや無理か。

言わずもがなですが、彼女は当時すでに、外見的な魅力はもちろんのこと、高い演技力で女優として確固たる地位を築いていました。学生でもなければ働いてもおらず、ひたすら受験勉強に励む代わりに「浪人生」、容赦なく言い換えれば「少なくとも一度大学入試に落ちた人」、というあるのかないのかよくわからない社会的地位を頂戴してなんとか生き延びていた私とは、雲泥の差です。

そう、まさに雲泥の差でした。二階堂ふみという雲の上の人間を、泥沼の中もがいているだけの私がライバル視など、できるはずがありません。しかし私は本気でした。

きっかけは、月刊誌「小説新潮」です。記憶があいまいになってきていますが、おそらく私の浪人時代に、彼女が小説新潮で連載をスタートしたのだと思います。

素晴らしい企画でした。二階堂さんが、最近読んだ本から着想を得てショートショートくらいの短い小説を創作するというものです。この連載は私に大きな衝撃を与えました。「二階堂ふみは本も読むのか、本業であれだけ成功してなお余力ありか、しかも大学は慶應か、こいつほんとに自分と同年代なのか、私から人権を奪うつもりか、許さんぞ二階堂ふみ、お前は必ず私が倒す!」当時の私の脳内はおよそこのような状況だったように思います。果てしない失礼。計り知れぬ無礼。めちゃくちゃですが、こうして二階堂さんは晴れて私のライバルとなったのです。

さて、どうにもこうにも勝算はゼロ、倒す倒すと言いながら私は二階堂さんに完敗しました。当然です。私はライバルに自身の存在を知らしめることすらかなわず散りました。私は特に何もなすことなく、大学を卒業しようとしています。

卒業を間近に控え、大学生活を一人振り返っていたところ、かつての脳内ライバルのことを思い出しました。卒業制作ではないけれど、せっかくだし何か形に残るものを作ってみたい、という気持ちがもともとあったのこともあり、「これだ!」と膝を打ちました。

そんなわけで、二階堂さんの連載のアイデアを大胆にパクったブログをやってみようと思います。読んだ本から着想を得て創作するだけ(つまり完全丸パクリ)にしようかとも考えたのですが、どうせやるなら読書ブログ的なこともやってみたいので、「感想+創作」という形をとろうと思っています。

最初はどんな作品で書こうかなあ。